ご挨拶
実は私は人に話しを聴いてもらうことが苦手です。
苦手だからこそ「話しを聴くこと」を探求してきました。
私は父が苦手でした。
父は子どもとのコミュニケーションが極端に下手で仕事に全力を注いだ、強くて強烈な人。
子どもの私にとって気安く話せる人ではなく常に緊張感があり、同じ空間が居心地悪いと感じる存在。受け入れてもらうためには自律して人に頼らず自分で何でも対応する強さが私にも必要でした。
小学 3年生のある日、母が生まれ育った岐阜の山奥の村に向かう時、父と二人で車に乗ることに。村までは2〜3時間。
大好きな場所に行くはずなのに気持ちは重く、緊張しながら出発しました。
が、その日父は上機嫌。
楽しそうに自分の子どもの頃の思い出話をずっと聴かせてくれました。
その車内での父の嬉しそうな幸せな様子を今でもはっきり覚えています。初めて父との関わりを感じた日でした。
楽しそうに話す父をみられたこと嬉しかった。
これが私の、人の話しを聴く出発点となりました。
それから10年後、インドやタイ、ネパールでボランティア活動をしながら様々な環境で、
時に非常に過酷に生きる人と接して、本当に人の役に立つってどういうこと?
これがテーマとなり、「話しを聴く」を学んでいきました。援助の仕事で聴く力は大切でした。
さらに10年後、心理学セミナーと出会い15年間で千人以上の方のお話を聴きながら、
人の役に立つ聴き方を学び探求を続けてきました。
今の私にとって聴くことは、
人の役立つと同時に、
人と繋がれ、人と関わり、私の居心地よい居場所をくれ、私を守り、支えてくれ、喜びや学び、多くを与えてくれるものとなりました。
子どものとき、本当は私に興味をもって欲しかった。横に座ってゆっくり話を聴いて欲しかった。気持ちを一緒に受けとめて欲しかった。私をわかって欲しかった。
そんな思いを私たちは、心のどこかにもっています。
話を聴いてもらうことは、自分で自分の声を聴くこと。
ゆっくりあなたのお話しをお聴かせください。